2024年2月20日火曜日

残照・夕景・「北陸浪漫」~記憶に帰る旅 213系5000番台、211系、383系、W7系

2024年2月11日 213系5000番台 車内 転換式クロスシート

転換式クロスシートの異例の2扉電車213系5000番台を愛でる旅。置き換えで数年後にはこの世からいなくなると言われている少数派の車両。まだ誰も眺めている者は私のほかにいなかった。JR東海の区間ではそれなりに記録に励む方はおられるのかもしれないが。

先達の関西急電クモハ53を思わせる2扉の車体はその後80系湘南型、153系湘南型などの優等型と近郊型ながら117系「新快速」型に進化をしていった。

213系の本来の配置先の関西本線、近郊型で3扉の211系などが相当であるところ当該形式があてがわれたのは競合する近鉄への対抗手段だったと言われている。国鉄末期に造られた岡山地区配置の213系のアップグレード版として登場したが2扉では客扱しにくく、JR東海の新鋭313系などに交代して飯田線で余生を送ることになった。

戦後関西本線自体が名古屋~伊勢、近畿への名阪ルートでは主流ではない時代が長く続き「栄光の時代」と言えるものではなかった。そこから飯田線への転用。人知れず生まれ人知れず移転して人知れず消える。213系5000番台の生涯は「栄光」とは無縁となりそうである。


 

残照を側面に受ける211系。中央本線普通列車は高尾まではこの形式が主流。211系は1986年から東海道本線、東北本線、高崎線で113系や115系の置き換えとして登場。現在はE231系、E233系に置き換えられ中央本線や高崎地域の北東部の区間に活躍の舞台を移している。いわゆる都落ちである。こちらはまだ後継形式への置き換えの話題はない。

 


 高尾から松本に向かう211系6連普通列車。地方路線の最大両数は6連なのか?
たい岡谷~塩尻間は211系クロスシートに乗車できた。晴れていても夕方になると風が冷たくなり体温を奪われていったのでクロスシートの車内は暖かく感じた。この列車で塩尻まで戻る。この日は213系000番台を愛で、211系も見るだけ見て帰ることになった。かつて若かりし頃真冬の北陸本線で旧型客車を飽きるほど愛でていたころを思い出した。

列車は塩嶺トンネルを抜け塩尻へ。来るときはバタバタして何も見ることはできなかったが、1981年春に急行「ちくま」で来たときは旧駅(塩尻大門)でここでスイッチバックした。駅舎もホームもくすんだ感じで蒸気機関車がどこかにいそうな感じだった。篠ノ井線に入りリンゴ畑の中を進むころすがすがしい信州の空気を感じた。


 中央西線「しなの」17号

1983年冬に塩尻に来たときはすでに現在の駅になっていた。急行「ちくま」で降り立ち、新宿行き普通列車115系横須賀色で中央東線に乗り換えた。まだ塩嶺トンネルはなく旧線経由だった。東塩尻で交換が行われた記憶がある。

塩尻で特急「しなの」に乗り換える。14分の時間内にトイレに行って、列車内で食べるものを買う。特急「しなの」車中からは暮れなずむ北アルプスの山塊が間近に望めた。手前に梓川が流れさらに手前に国道19号が走り、新旧の建物が並ぶ。国道19号と20号の分岐点は塩尻にあり左手「東京・甲府」右手「名古屋・木曽福島」の標識(当時)を見たときは旅情を感じた・・・

姨捨の手前から眼下に善光寺平の街灯りが広がる。函館の夜景には及ばないかもしれないが見事な夜景が迫ってくる。383系特急「しなの」はカーブが多い山腹に車体をくねらせ善光寺平に降りていく。鮮やかな光景が終わって篠ノ井に着き、信越本線に入って長野到着。

長野での383系 クモハ383‐13

長野での乗り換え時間も短くすぐに新幹線乗場に。


 

w7系金沢行き「はくたか」 長野駅

わずか9分の乗り継ぎ時間で「はくたか」517号に乗り換え。ホームは混雑しておらず、その中を列車が到着。長野ではかなりの人が降りていった。

列車は18時9分定刻発車。この列車はJR西日本のW7系で「北陸浪漫」のメロディが流れ自動放送が流れた。新潟県中越に住んでいるとJR西日本のエリアは大糸線であり普段はかかわることがないエリアになっていた。もちろんJR東海も。北陸新幹線開業後は日本海縦貫線が消滅して他社とのつながりが絶たれ、孤立した。遠距離の移動は新幹線だけが現状。在来線は新潟支社のものしか見かけなくなってしまっている。この点においては在来線で首都圏や名古屋、豊橋などに出かけることが可能な中央本線沿線の地域がうらやましい。

飯山ではスキーに向かうアメリカ人が多数下車。山の彼方にスキー場の明かりが見えた。志賀高原や斑尾高原は人気が高いようだ。USA飯山シティといった印象だった。

列車が動くと「北陸浪漫」のメロディが流れる。今は亡い谷村新司の曲のアレンジ。

上越妙高駅は13時31分着。ここで帰路の2分の1が終わる。さらに残り2時間を普通列車で乗り継いで帰宅した。「東京へ行くより遠い」長野県諏訪地域への訪問が終わった。